世界農業遺産「能登の里山里海」とは
世界農業遺産とは
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世界農業遺産とは

世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems(GIAHS):ジアス)は、2002年(平成14年)、食料の安定確保を目指す国際組織「国際連合食糧農業機関」(FAO、本部:イタリア・ローマ)によって開始されたプロジェクトです。

創設の背景には、近代農業の行き過ぎた生産性への偏重が、世界各地で森林破壊や水質汚染等の環境問題を引き起こし、さらには地域固有の文化や景観、生物多様性などの消失を招いてきたことが挙げられます。

世界農業遺産の目的は、近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代へ継承していくことです。

国際連合教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))が推進する世界遺産が、遺跡や歴史的建造物、自然など「不動産」を登録し保護することを目的としているのに対して、世界農業遺産は、地域のシステムを認定することで保全につなげていくことを目指しています。

認定地域は世界各国に広がり、2015 年12月末現在で15ヶ国36サイトとなっています。

 

参考:国際連合食料農業機関(FAO)ホームページ(英語)GIAHS

日本では、「能登の里山里海」(石川県能登半島、2011年6月)、「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県佐渡市、2011年6月)、「静岡の茶草場農法」(静岡県、2013年5月)、「阿蘇の草原の維持と持続的農業」(熊本県、2013年5月)、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」(大分県、2013年5月)、「清流長良川の鮎」(岐阜県、2015年12月)、「みなべ・田辺の梅システム」(和歌山県、2015年12月)、「高千穂郷・椎葉山地域の山間地農林業複合システム」(宮崎県、2015年12月)が認定されています。

 

 

 

1.チロエ農業(チリ)
2.アンデス農業(ペルー)
3.イフガオの棚田(フィリピン)

ばれいしょ原産地の1つで、現在も約200種の地域固有のばれいしょが生産されている。その先祖伝来の慣行は、おもに女性により何世代にもわたって伝承されている。

ばれいしょ畑の周りに溝を掘り水を貯め、昼間の日射で温められた水を気温の下がる夜間に畑に流し、霜よけにする。海抜4000mの厳しい環境に適した農業システム。

棚田による水資源の共有、海抜1000mの環境にも耐える水稲品種の育成により、巧みなかんがいシステムが発展。ユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録されている。

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4.浮き農地農業(バングラデシュ)
5.カシミールのサフラン農業(インド)
6.コラプットの伝統農業(インド)

低地が多く、雨季には陸地が水没してしまうことから、草や水草・コケ等を幾重にも積み重ねて水に浮く農地をつくりあげ、野菜などの水耕栽培を行っている。

 

固有のサフラン栽培が2500年以上受け継がれており、現在も17000家族が取り組む。生産性、マーケティング、品質と価格の向上、直販などの取り組みを積極的に行う。

古来、薬草や薬用米の原産地として有名。多数の少数民族が原始的な農業生活を営む。400種近い米を栽培する農家もおり、固有植物が数多く存在する地域でもある。

7.フッタナドの海抜以下での農業システム(インド)
8-9.マサイの牧畜(タンザニア、ケニア)
10.シンヴェジュとハンバのアグロフォレストリ―(タンザニア)

海抜ゼロメートル地帯に水田が広がる珍しい環境。そこに住み、漁業をしながら、米などの作物を栽培する技術を開発。150年以上の歴史があり、多様な生物を育む場にもなっている。

 

マサイ・ダバド族は、先住民の間で古くから伝わる伝統知識をもとに牧畜を営んできた。今も民族や地域における経験を活かしながら社会や環境の変化に適応している。

 

材木用の樹木やバナナの木々の間で、コーヒーや食用作物、ハーブなどを栽培するシステムが構築されている。多様な作物栽培を可能にし、病害虫管理にもすぐれている。

 

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11.カシャーンのカナート灌漑農業システム(イラン)
12.アルアインとリワのオアシス(アラブ首長国連邦)
13-15.マグリブのオアシス(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)

砂漠地帯で貴重な水の蒸発を防ぐとともに、安定的水源を確保するため、カナートと呼ばれる地下水を水源とする地下水路を作り、ナツメヤシや小麦、綿花等の数多くの商品作物が作られている。

アルアインとリワにはオアシス群が存在し、古くから遊牧民(ベドウィン)が集落をつくり、ナツメヤシ(ビーツ)の栽培などが行われている。

 

灌漑施設に支えられ、ナツメヤシをはじめとする多様な樹木や作物が共存。厳しい天候の地域にもかかわらず、さまざまな果物や野菜が生産されている。

 

16.水田養魚(中国)
17.ハ二族の棚田(中国)
18.万年の伝統稲作(中国)

2000年前の漢王朝時代から続くシステム。青田県では、田魚が害虫や雑草を防いだり、代替肥料となるほか、日々の食料や収入源として、さまざまな役割を担っている。

集落は山腹に作られ、上に森林、下に棚田が形成されている。貯水池はないが給水量が豊富。その独特なかんがい方式と古くからの農業生産方式が今も営まれている。

伝統的な米文化を継承。米の在来種を栽培する水田と、治山治水の役割を果たす周囲の森林が、生物多様性の保全と、持続可能な農業環境をもたらしている。

 

19.トン族の稲作・養魚・養鴨(中国)
20.アオハンの乾燥農業(中国)
21.プーアルの伝統的茶農業(中国)

1000年以上、水田での養魚・養鴨システムを継続。この水田でのシステムは地域の生物多様性や水・土壌の保全、病害虫の抑制、気候への適応などに役立っている。

アワやキビなどが多く栽培される。これらは災害救済用の主作物で、経済的にも重要な役割を担う。乾燥地域営農組織には中国古代の農業と草地文化をつなぐ役割もある。

茶の原産地として知られ、1800年以上にわたって茶樹を栽培し、茶の使用法を最初に身につけた民族がいまも暮らしている。生態系および古代の茶道文化の保護にも役立っている。

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22.会稽山の古代中国カヤ栽培(中国)
23.宣化の伝統的ぶどう栽培(中国)
24.福州のジャスミン栽培と茶文化(中国)

秦の時代からカヤの木を植栽していたとされる。カヤは食用、薬用、加工品の原料に利用する。接ぎ木の技術や暮らしに密着した加工の知恵が豊富。

 

1300年以上の歴史があるぶどう栽培。ほとんどが家の裏庭でじょうごのような形をした棚で行われている。都市部にある農業遺産である。

 

福州では2000年以上前からジャスミンを栽培しており、ジャスミン茶の発祥の地としても知られている。ここでは標高差を利用してジャスミンと茶樹の両方を栽培し、ジャスミン茶が今も作られている。

       

 

         

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25.伝統的桂県ナツメ農園(中国)
26.嵩上げ水田システム(中国)
27.青山諸島の灌漑棚田システム(韓国)

桂県のナツメ栽培の歴史は1000年以上とされ、干ばつ被害を頻繁に受ける地域では、救命植物となるほか、砂嵐を防止したり、荒地での水と土壌の保全など、重要な役割をはたしている。

興化は低地が多く、周辺の湖の氾濫により、たびたび洪水に見舞われるため、木製の土台の上に泥を積み重ねて嵩上げし、農地として利用している。

 

青山諸島は排水性の高い礫、砂質土で水不足に陥りやすいことから、石を使用した、暗渠水路を作り上げており、共同で暗渠の維持と水の利用に関する決定を行っている。

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28.済州のバットダム農業システム(韓国)
29.能登の里山里海(日本・石川県)
30.トキと共生する佐渡の里山(日本・新潟県)

火山島である済州は排水性の高い礫、砂質土で水不足に陥りやすいことから、水の蒸発と土壌の損失を防ぐために溶岩石を使って2200kmにもおよぶ防風壁を築いている。

 

棚田やため池で形成される里山の景観と、海女(あま)漁、揚げ浜式製塩など、里海の資源を活用した伝統技術が受け継がれている。農村の暮らしと結びついた風習や文化も多い。

 

山や深い森に恵まれ、豊かな生態系が維持されている。トキの餌場となる水田では、冬期湛水など「生きものをはぐくむ農法」とその認証制度を推進している。

 

○新潟県佐渡市

31.茶草場農法(日本・静岡県)
32.阿蘇の草原の維持と持続的農業(日本・熊本県)
33.クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環(日本・大分県)

茶園の畝間にススキやササなどの刈敷を行うことで有機物を補う農法であり、茶園の周囲にある「茶草場」から敷草を刈りとるため、常に半自然草地が茶園の周囲に存在し、独自の生物多様性が維持されている。

○静岡県

世界最大級の阿蘇のカルデラ周辺に広がる草原は定期的な野焼きによって牧畜が持続的に営まれるとともに、草原特有の生物多様性が維持されている。持続的な活用を通した循環型農業の結果、自然環境が保全されている。

○熊本県

効率的な土地・水利用が実践され、豊かな農村文化が形成されている国東半島宇佐地域では、豊かな農林産物と生態系をもたらすクヌギ林とため池による循環型農林業が行われている。

 

○大分県

34.清流長良川の鮎(日本・岐阜県)
35.みなべ・田辺の梅システム(日本・和歌山県)
36.高千穂郷・椎葉山地域の山間地農林業複合システム(日本・宮崎県)

長良川は流域の人々の日々のくらしや水質保全活動により清らかな流れが保たれるとともに、その清流では鮎が育ち、鵜飼漁をはじめとした伝統的な漁法が受け継がれ、地域の人々が鮎からの恩恵を享受している。

人の生活、水環境及び漁業資源が相互に連関する長良川の里川システム

○岐阜県

養分に乏しい礫質の斜面を利用し、梅林としての利用と周囲に薪炭林を残すことで水源涵養や崩落防止等の機能を持たせるとともに、薪炭林に生息するニホンミツバチと梅との共生等、地域資源を有効活用して高品質な梅を持続的に生産している。

 

○和歌山県

平地が少ない山間地において、針葉樹と広葉樹で構成されるモザイク林等による森林保全管理、伝統的な焼畑農業、急斜面に築かれた水路網を有する棚田の米作りなどの複合的農林業と神楽など、特色ある伝統文化を継承している。

 

○宮崎県