石川県立高松病院 精神科

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蔦

アルコール依存症(生活習慣改善)治療

アルコール依存症治療

1.アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、習慣的飲酒を続けてきた結果、身体合併症を悪化するばかりでなく、家族や周囲の人たちに迷惑をかけているにも関わらず、飲酒をやめられない病気です。
アルコール依存症のレベルでは、以前と同じ量を飲酒しても酩酊感が得られず、酔う為にはより大量のアルコールを摂取する必要があります。離脱(禁断)症状といって酒が切れてくると、手が震えたり(振戦)、ひどく汗をかいたり、うまく歩けなくなったり、あるいは実際にはないもの(小さな動物、虫など)が見える(幻視)などの症状が現れることもあります。
アルコールは依存性薬物であり、アルコール依存症の原因は、単に本人の意志が弱いとか、道徳的に欠陥があるということではありません。糖尿病や高血圧のような遺伝的な体質の問題であり、れっきとした病気です。進行すれば死や認知症に至ることも多く、真剣に治療しなくてはいけません。

2.自分は本当にアルコール依存症なのか

「アルコール依存症」のイメージはどういうものでしょうか。「年中、昼間から酔っていて、仕事もできず、生活費にも困り、家族に対して暴力を振るうような荒んだ生活をしている人。また酒のために家族も住む場所も失い、路上で一升瓶を抱えて生活する人」と思う人が多いのではないでしょうか。しかし、全てこのような典型的な人たちばかりではありません。最近は会社にも勤め、家族を殴ったりしないアルコール依存症の人も大勢います。

3.酒をコントロールして飲めるか(節酒できるか)

いったんアルコール依存症になってしまうと、たとえ少量を飲んでもひどく身体がむしばまれるようになります。はじめのうちは「いつの日か、酒をコントロールしながら楽しく飲むことができるようになる」という考えが頭から離れないかもしれません。しかし、アルコール依存症は進行性の病気であり、現在の医学では酒をコントロールして飲めるようには治りません。ただし完全に酒をやめれば、病気の進行を止め、回復することができます。節酒ではアルコール依存症を進行させてしまうので、断酒を継続させる以外に道はありません。治療中に、アルコール依存症に対して正しい知識を持ち、断酒へのしっかりとした心構えを作ってください。

4.通院治療と入院治療(プログラム)

通院治療では専門外来(アルコール外来)での診察に加えて、入院者と合同で断酒を継続させるためのテーマを決めた話し合いを行うプログラムをおこなっています。
入院治療は原則的にアルコール依存症専門病棟(開放病棟)で行います。ただし、病状・状態によっては治療の場を移すこともあります。本人の同意に基づく入院(任意入院)で、入院治療期間は原則約9週間です。集団の場でアルコール依存症の治療を行い、今後の長い断酒生活の基礎作りをします。

治療プログラム
サイコドラマ しらふでの自己表現が目的です。前半は体操やゲームでウォーミングアップをします。後半は寸劇の形でいろいろな役割を演じます。家族などの相手の感情や立場を感じることも課題です。(主な場面設定:「酒を勧められて断る」「依存症の家庭」「入院の経緯」など)
作業療法 (手工芸等)
作業療法士のもとで、ある作品を制作することなどを通して、規則正しい生活を身につけ、忍耐力・連帯感などを養い、達成感を味わうことなどを目標にします。
(運動プログラム)
長年の飲酒や不規則な生活等により、体力が低下しています。退院後の社会復帰のためにも、必要な体力を回復させるため簡単な運動を行います。
外来
入院者合同ミーティング
断酒を継続するために、外来通院者とともにあらかじめ決められたテーマについて話し合います。
勉強会 アルコール依存症についての講義を受けたり、飲酒にまつわることについての話し合いをしたりして学びます。
グループミーティング 様々なテーマについて自分の感情、考えを素直に表現し合う時間です。他の人の考えを聞くことで、客観的に自分を見つめ直すことができます。
GTMACK
(久里浜版
アルコール依存症のための
集団療法モデル)
今までの出来事や物事に対する認知(=見方や考え方、価値観、認識)を検討し、その認知を変えることで、これからの行動や生活を改善していこうとするものです。そして、さらに断酒継続に必要な実践的な対処技術を学んでいきます。
ウォーキング(冬季は作業療法) 健康的な生活を維持していくために、集団で助け合いながら約1時間から2時間ほど歩き、心身の鍛練を行うものです。自然に親しみ、健康的な汗を流し、良い思い出としましょう。基本的には天気に関わらず実行しますが、身体の状態などにより不参加になることもあります
内観 過去から現在に至るまでを振り返り、自分の身近な人たちとの関わりの中で「していただいたこと」「してかえしたこと」「迷惑をかけたこと」の年代を追って調べ、ありのままの自分を知るものです。
自治会活動 アルコール依存症という病気をもち、一緒に治療していく仲間として、規律ある集団生活を送る上で必要なものです。身の回りのことを自分で行うことで今までの家族との関係を考え、協調性を養います。
懇談会 自治会で話し合ったことや、秩序ある入院生活についての希望や意見を出し、検討します。治療スタッフ側からの連絡や問題提起も行います。
家族教室(第4日曜9時30分~) 家族を対象としたプログラムです。入院者の家族だけでなく通院者の家族も参加します。アルコール依存症という病気についての知識、治療、ならびに家族としての在り方を知ってもらいます。また家族が抱える問題を互いに出し合うことで、問題を共有し、悩みを軽減します。
自助グループ 断酒を継続している人々の自主的な集まりで、AAと断酒会があります。回復した人たちの姿を自分の目で見て、話を聞く中でアルコール依存症にも回復があることを実感してもらいます。月、木の会合に参加し、カードに捺印してもらいます。自助グループは、退院後の断酒生活の重要な足がかりとなります。
心理検査と心理面接(箱庭療法) 通常プログラム以外に行います。日程は別にお知らせします。
  1. WAIS-Ⅲ:知能検査。長期飲酒による機能の低下やバランスなどをチェックします。
  2. MMPI:断酒後の気分の状態や性格などをみます。
  3. 箱庭:砂の入った木箱の中に好きな玩具を置いて、自由に自己を表現します。特別な決まりはありません。その時に思いついた自分のイメージをゆったりと表現してみましょう。
酒歴発表 入院生活の総まとめとして、退院の週に行います。今までの飲酒生活を振り返り、退院後の断酒に向けて気持ちを新たにします。

アルコール依存症入院プログラムご案内

その他の生活習慣改善プログラムについて

うつや不安などの精神の病気は、しばしば生活習慣と密接な関係があります。生活習慣が不健康だと、脳が休まりにくく疲れやすくなるのです。ところで、「脳を休める」イコール「何もしない」というわけではありません。毎日決まった時間に起きて活動を行い、適度な運動と対人交流を行うことで、否定的な考えや心配にとらわれる時間が減ります。また、これらの活動は、脳の神経伝達物質や栄養因子に良い影響を与えます。さらに、正しい睡眠習慣が身につけば、睡眠の質が改善します。このような生活を送ることで、脳が疲れにくくなるのです。そうすれば、これまで飲んでいた薬を減らせるかもしれません。生活習慣改善プログラムでは、アルコール依存症でなくても、うつや不安の患者さんに対して生活習慣や睡眠習慣を改善するためのお手伝いをさせていただきます。生活習慣改善プログラムには、次の5つの要素が含まれます。

  1. 行動活性
  2. 光療法
  3. 運動
  4. 対人交流をすること
  5. 睡眠

また、睡眠の質に影響を与える睡眠時無呼吸症候群の検査のための入院も行っております。

アルコール依存症(生活習慣改善)治療