主要魚種の年動向(石川県主要10港の水揚量と魚種概要)

   ※ 加賀・金沢・西海・輪島・蛸島・鵜飼・内浦・能都・七尾・佐々波・岸端の合計です
   ※ 水揚量の単位はトンです。 ※ データは予告なく修正・削除される場合があります。

クロマグロ 日本の沿岸を含む太平洋の温帯・熱帯海域に生息する重要種であり、成魚は寿司や刺身の高級食材として、若齢魚は比較的手ごろな刺身用食材として利用されます。石川県では定置網やまき網で漁獲され、シビコ・メジ・シワカ・クロマグロと成長とともに呼び名がかわります。漁獲物のほとんどは尾叉長100センチ未満の若齢魚であり、若齢魚の漁獲を抑制することが資源を保護するうえで大切です。


マイワシ 定置網やまき網で漁獲されます。1980年代のピーク時には全国で年間400万トン以上も漁獲されましたが、1990年代以降の資源減少にともない水揚量は減少しました。資源量は海洋環境の影響を受けて大きく変動し、冬の季節風が強い寒冷期に増加、温暖期に減少すると考えられています。近年、冬の季節風が強い年が多く、資源増加の兆しがみられます。


カタクチイワシ しらす・ちりめん・煮干しとして食卓に欠かせない魚です。日本の沿岸に広く分布し、マイワシの資源量が減少した1990年代に全国の水揚量が増加しました。石川県では3〜5月頃に主に定置網で漁獲され、水揚量は2000年代に多く、マイワシとは逆の増減傾向がみられます。1歳で成熟して周年にわたって産卵するため、水揚量の増減はマイワシほど大きくはありません。


ウルメイワシ マイワシ・カタクチイワシよりも低脂肪であるため主に干物に加工されます。マイワシやカタクチイワシよりもやや暖かい海域に分布します。全国の水揚量は1990年代後半から2000年代前半に減少しましたが、2000年代後半以降、増加傾向にあります。石川県では春・秋・冬に定置網で、夏にまき網で漁獲されます。


マアジ 塩焼き・干物・刺身・フライなどの食材として馴染みのある魚です。本州沿岸から東シナ海に分布し、主にまき網・定置網で漁獲されますが、海底付近にも分布するため底びき網でも漁獲されます。全国の水揚量は1990年代中頃以降、減少する傾向にあり、石川県でも2000年代以降、水揚量は減少する傾向にあります。


マサバ 塩焼き・煮つけなどの食材として代表的な大衆魚です。日本の沿岸に広く分布し、定置網やまき網で漁獲されます。東シナ海から本州日本海側沿岸の水揚量は1990年代中頃以降、減少する傾向にあり、石川県でも同様の傾向がみられます。近縁種のゴマサバはマサバよりもやや暖かい海域に分布しており、脂質が少ないことが特徴です。


ブリ 日本の沿岸に広く分布する回遊魚であり、主に定置網・まき網で漁獲されます。成長とともにコゾクラ・フクラギ・ガンド・ブリと呼名がかわる出世魚です。12月頃に獲れる大型のブリは「寒ブリ」と呼ばれ、石川県では冬を代表する魚として親しまれています。1990年代以降の海洋の温暖化にともない、水揚量は増加する傾向にあります。


アカガレイ 水深200mから900mの海底に生息しており、秋に深場から浅場へと移動し、冬から春に水深200m付近の浅場で産卵します。底びき網の重要種であり、漁獲されると内出血して赤くなることが特徴です。山陰沖では1980年代から1990年代に資源水準が低下して水揚量も減少しましたが、石川県では水揚量は比較的安定しています。


マダラ 日本海・太平洋北部・北海道周辺の沿岸に生息する冷水性の魚です。本州日本海沿岸では水深200mから400m付近に分布し、冬の産卵期にはいくぶん浅い海域に移動します。秋から春に底びき網・刺網・定置網・釣りで漁獲されます。1990年代には水揚量は低水準でしたが、2000年代以降、豊度の高い年級群が漁獲されるようになり、水揚量は増加しました。


ハタハタ 日本海の水深200mから400mの砂泥底に棲息し、冬になると秋田県沿岸の藻場に大量に来遊して産卵します。石川県では冬から春に主に底びき網で漁獲されます。石川県の水揚量は2003年に急増し、2010年頃まで高水準を維持しましたが、近年は減少する傾向にあり、秋田県を中心とする日本海北部系群の資源動向と関係すると考えられています。


ニギス 中底層性の魚であり、日本海・太平洋沿岸の水深100mから320mの海域に分布しています。周年にわたって産卵しますが、春と秋が主な産卵期です。石川県のニギス水揚量は日本一で、全国の水揚量の約3割を占めています。1990年代以降、資源水準は比較的安定していますが、ニギスをねらった操業が減少しており、水揚量は減少する傾向にあります。


サワラ 日本海沿岸・瀬戸内海周辺・東シナ海に分布する魚食性の魚です。日本海では1990年代までほとんど漁獲されませんでしたが、2000年頃から水揚量が急増し、定置網の重要種になっています。東シナ海で生まれたサワラは秋に日本海に来遊し、翌々年の春まで滞在します。日本海に来遊する秋の水温上昇が水揚量の急増に関係していると考えられています。


フグ類 石川県のフグの水揚量は全国トップクラスです。石川県では春から初夏に定置網によってマフグ・ゴマフグが多く漁獲され、トラフグなども漁獲されます。マフグとトラフグの産卵場は本州日本海・九州・瀬戸内海の沿岸に点在しており、七尾湾はトラフグの産卵場になっています。マフグとトラフグには春の産卵期に産卵場に回帰する習性があります。


ウスメバル 体内で孵化した仔魚を生み出す卵胎生の魚です。冬に生まれた仔魚は初夏頃まで流れ藻に付き、その後、沿岸の岩礁域に移動し、成長とともに水深150m付近の深場へと移動します。石川県ではヤナギバチメと呼ばれ、主に刺網・釣りで漁獲されます。近年の県内水揚量は200トン前後ですが、1980年代には輪島地区だけで900トン以上も漁獲されことがありました。


ウマヅラハギ 鍋物・刺身・煮付けなどの食材としてお馴染みの魚であり、東シナ海・日本海に広く分布しています。稚魚は流れ藻などに隠れて海面付近を泳いでいますが、成長とともに岩礁域などの深場に移動します。石川県では定置網や刺網で漁獲されます。県内水揚量は1990年代中頃以降、減少する傾向にあり、近年は500トン前後で推移しています。


サヨリ 細身でツンと突き出た下あごが特徴的です。透明感のある身が美しく、寿司や刺身などの高級食材として利用されます。寿命は2年で、大きな回遊はしません。主な分布域は本州中部以南・四国・九州の沿岸で、七尾湾を含む石川県内浦海域は全国有数の漁場です。主に二そう船びき網で漁獲されますが、漁船隻数の減少等により、1990年代後半以降、県内水揚量は減少傾向にあります。


ホッコクアカエビ 赤い体と強い甘みが特徴的で、主に刺身にして食されます。石川県ではアマエビと呼ばれ、県を代表する水産物です。日本海の水深200mから600mの海底に生息し、5歳前後で雄から雌に性転換します。主に底びき網で漁獲され、金沢沖は国内最大のアマエビ漁場です。県内水揚量には多少の増減がみられますが、概ね700トン前後で安定しています。


トゲザコエビ 茶褐色の体で見た目は地味ですが、強い甘みがあるうえ、アマエビよりも身がしっかりしているため食べごたえがあります。石川県では底びき網で漁獲され、近縁種のクロザコエビとともにガスエビと呼ばれています。両種を区別する場合には、前者をトラエビ、後者をシロトラエビと呼ぶこともあります。県内水揚量は1990年代中頃以降、漸減する傾向にあります。


ズワイガニ 冬を代表する水産物であり、石川県では雄は加能ガニ、雌は香箱と呼ばれます。底びき網の最重要種であり、法律により雄の漁期は11月6日から3月20日まで、雌の漁期は11月6日から1月20日までとされ、水揚量の上限も設定されています。漁期短縮や保護区の設定など漁業者独自の資源保護の取り組みも行われています。近年の県内水揚量は500トン前後で推移しています。


サザエ 夏を代表する貝で、貝殻に尖った角を持ちます。荒々しい磯では角が大きく、穏やかな内湾では角が小さいという特徴があります。夜に岩場を動きまわり、海藻を食べて成長します。輪島では海女による潜水漁が有名ですが、県内他地区では角を網に絡めて漁獲する刺網漁が主体です。県内水揚量は1990年代後半以降、漸減する傾向にあります。


スルメイカ 石川県の主要水産物です。春から夏に日本海を北上して北海道周辺海域に到達し、秋から冬に日本海を南下して東シナ海にもどり産卵・死亡します。石川県沿岸では、春から夏にイカ釣り、冬から春に定置網で漁獲されます。石川県小木港は本州日本海最大の冷凍スルメイカの水揚港です。生鮮スルメイカの水揚量は1990年代中頃以降、減少傾向にあります。


アオリイカ 東シナ海・南シナ海・オーストラリア沿岸などの熱帯・温帯域に分布し、青森県以南の日本海や宮城県以南の太平洋にも分布しています。日本海沿岸では春に北上、秋に南下します。石川県では、秋に定置網で漁獲され、年々の水揚量の変動が大きいことが特徴です。秋の水温が高いほど水揚量が多くなる傾向がみられます。


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