---斉藤さんは短大を出た後、デザイン会社にお勤めされていたんですよね?
はい、デザイン会社に勤めていた時、プレゼンが苦手だったんです。そんな時に気づいたんです。現場の人はかっこいいって。
鉄・石・カッティングシート、何でも自分が発注したように各分野現場のプロは仕上げてくるんですよ。
当たり前の事だったのかもしれないけど、自分の手で根拠のある仕事がしたくなったんです。
---で、ロクロ職人になったというわけですか。
短大で陶芸を専攻していましたし、 素地屋になるには?って短大の先生に聞いたら、研修所に行けって言われたんです。
研修所を卒業してからロクロの製陶所に就職。気づいたら3年たっていました。すごく集中していたし、あっという間って感じ。
まずは下仕事から。最初はロクロになんて座れません。商品になりっこないですからね。でも下仕事で気づくこともあるんです。先生がロクロで挽いたのは同じ重さ・大きさ。私の挽いたのになると、とたんに重さが違うんですよね。バラバラの重さ。仕事が終わってから空いているロクロを借りて練習しました。
---念願のロクロ職人になれたってわけですね。仕事が楽しい!って感じが伝わってきますよ。
小さい頃近所にいた大工さんに憧れていたんですよ。職人!って感じ。
今は職人として素地屋になれてちょっとうっとり。でもね、もっと素地の勉強しなきゃって思うんです。
注文図面のままひけるのは勿論のこと。でもこうだからこうしてあるって意味をもった(ロクロの)仕事がしたい。まだまだ勉強しなきゃいけないことが沢山ありますね。
---
仕事上注意している事はどんなことですか?
注意しているというか、素地屋は主張しなくっていいと思うんです。
お店に行って自分の挽いた素地に絵付けされて並んでいるとうれしくなるし、私が挽いた物と見本とが見分けがつかなくなると「きたぁ!」ってうれしくなります。
粘土の硬さは重要で注意しているかなぁ。見本を挽いたとき、粘土は硬かったか軟らかかったかは必ず確認しますね。
---最後に陶芸を志している後輩に一言お願いいたします。
目的意識、私にとったら素地屋になりたいってことだったんですが、それをしっかり持っている人は大丈夫。迷いがある人はそのまま中途半端に終わっちゃうかな。
日用品を中心に勉強できたから、就職は私にとってよかった。でも焼き物の仕事って誰も教えてくれないし、教えてもらえるって思ったら大間違い。
謙虚に言われたことを素直にするって事が大切。知識だけあっても駄目なんだねぇ。