---卒業後、お二人とも就職されたんですよね?
「はい、私は京都で3年・九谷で3年の6年間修業してから、ここで仕事を始めました。九谷焼の産地で育ったんですけど、だからこそ他が見たかったかな。
研修所のカリキュラムの企業研修(実際の職場を体験する研修、現在も行っている)に行かせてもらった店で京都での求人を知り、お願いしに行ったんです。」(靖)
「私は染め付けと上絵付けをやっている窯元に就職し、6年間修業したんです。そこでは先生が描いた緻密な図を他にいる職人と一緒に仕上げていきます。分業で仕事していました。
例えばダミ(染め付けで色をぬる事)の仕方にしても独特で、手早く仕事をこなせるようになりましたね。」(智恵)
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お互いに意見しあったり、形や絵のリクエストとかしますか?
「こんな感じにしたらいいとか言われるかなぁ。でも具体的じゃないんですよね。らくーな感じとか、ふわっととか・・・。言っていることが分からない。だから、好きなような描くんです(笑) 描きすぎだって事も言われる。形に関してはこっちからリクエストしますね。」(智恵)
「するのはいいけど、型が出来上がってから「もうちょっと浅くして」とか言うんです。困るんだよね。」(靖)
---靖さんは型も作っているんですね。九谷でもなかなか難しく出来る人の少ないロクロの型打ち(ロクロで挽いた素地を好みに仕上げた素焼きの型に載せ形を仕上げる)ですが、京都で勉強されたんですか?
「いいえ、彼女の修業した工房では型打ちをやっていて絵付けの感じから萌窯にも取り入れたいと思い独学したんです。丸い物ばかり作っていて何か他の形もやりたいって思っていたからちょうど良かったんです。」(靖)
---現在の活動はどのようにされていますか?
「年に個展を4〜5回やっているかな。今は主に県外。最初は県内のお店にださせてもらっていて、他県のギャラリーさんとか販売店さんとかが声をかけてくれて、個展したら雑誌の取材が来てくれて・・・って感じで販路は広がったかな。公募展とか出品は考えていないんです。食器中心にやっていきます。」(靖)
「私達位の年齢になると、頑張ってきたけど陶芸をやめて他に職を求めたりしだす人も周りにいますね。私達も楽でしょうがないって訳じゃないですよ。でも、あと5年やってみよっかなぁって感じかな。大丈夫なんかなぁって思いながら(笑)。研修所に入ったから、就職したからってどうにかして貰えるものじゃないんですよね。10年後の自分を想像して、かつ現実をよく見てチャレンジしてください。」(智恵)