ロクロ師を目指す、金丸涼花さん。


令和2年(2020)春、研究科卒業、研修所のロクロ成形講師 東剛太郎先生の工房(アズマ製陶所)の門を叩く。

将来は、伝統工芸士になって九谷焼を支えたい! まだまだ出来ることは少ないけれど・・・といいながら、頼もしい夢を語ってくれました。

金丸さんの就職先であるアズマ製陶所は、昭和25年(1950)から九谷焼の素地を大物から小物まで挽く窯元。

2代目の東先生には、多くの研修生を指導していただき金丸さんもその教え子の一人。


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この取材では、研修所の卒業生が、何を学びどのように考えて就職しているのかを取材し、研修生やモノづくりを志そうとしている方に向けて、様々なメッセージが伝わる事を目的としています。

今回は、ロクロ成形を志して就職している金丸さんと、その雇用主である東先生に色々と伺います。






-------まず東先生に伺います。これまでに何人もの卒業生を雇用して下さっていますが、雇用するポイントはありますか。


東先生:うちの工房で働くということは、技術を学ぶという職場。それに必要なことを考えて採用はしています。それは気力と人柄。仕事に対して学ぶ意欲と、仕事について来れるか、そんな人柄をみています。努力すれば腕に技術はつきます。
今、金丸さんを雇用して後悔なしです。頑張ってくれています。先は長いけれど、天狗にならずに辛抱できるかが大切かな。



 

ロクロ師を目指すきっかけは、東先生との出会い

 

-------金丸さんは県内の高校を卒業後、京都造形大学(現、京都芸術大学)に進学し、卒業後に石川県に戻って研修所に入学していますが、きっかけは何かあったのですか?


金丸さん:大学では現代美術を志しアート作品ばかり制作していました。作ることがとにかく楽しかったので、作ることを仕事にしたいと考え、地元には九谷焼があることを思い受験しました。
本科1年の時は、まだアート作品をつくる作家になりたいと考えて、ロクロの授業は苦手だと思っていました。ところが本科2年生になって東先生にロクロを教わり挽ける!と感じ、どんどん面白くなったのです。
研究科に入学した時にはロクロを生業にしたいという気持ちになっていました。ロクロ職人!カッコイイ!と思っていました。



-------金丸さんがロクロ師になろうと思ったのは、東先生との出会いがきっかけだったんですね。
就職した今は、どのような仕事をしていますか?


金丸さん:ロクロで挽いた香炉に足をつけたり穴を開けたり、マグの取手をつけたりをしています。ロクロに座らせてもらうこともあり、まだまだですが、吸出碗は商品として出すことができるようになりました!今は徐々に出来ることが増えていることが嬉しいです。




 

将来の夢は九谷焼の伝統工芸士になること

 

 

-------研修所では研修生として東先生にロクロを教わっていましたが、ロクロ師として働いて感じる事は?


金丸さん:仕事と同じ事を、研修生の時に授業で経験しているのですが、研修生の時は課題だと思ってやっていたからか、気づけなかったことがたくさんありました。振り返ると先生方は授業の中で重要なことを言ってくれていたんですね。
例えば、時間をかけて丁寧に作っているからといって良い素地かというと、先生は違うとおっしゃいます。ものの「良さ」とか「もののあり方」とかを研修生の頃は考えてもいなかったのですが、今は毎日が勉強で楽しいです。


-------なるほど、新しい発見がたくさんあるんですね。研修生だったころを振り返って、やっておくべき事はありますか?
在校生に一言、お願いいたします。


金丸さん:学生のうちは時間がたくさんあります。色々“もの”を観て「ゆずれないもの」を見つけて欲しいと思います。
例えば「形のカッコよさ」だったり「形を見極める力」をつけると良いと思います。日々の課題でも「ゆずれないもの」の理由を考えておくといいと思います。自分なりの「もののあり方」を意識していると良いと思います。



-------なるほど、大切な事ですね。日々心掛ける事で大きな違いが生まれるはずですね。
では、金丸さんの今後の目標を教えてください。


金丸さん:私は九谷焼の伝統工芸士を目指しています。自信をもってロクロが挽けるようになりたいと考えています。
九谷焼の分業生産の中、ロクロ師が減っていることが問題になっています。文化(産業)としての九谷焼を支えられたら良いと思っています。
(※伝統工芸士認定資格として実務経験が12年必要。研修生の年数もそれに含む。)

 

 

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「ロクロを学びたいとお願いして入社させて頂いたのですが、スキル不足でスタートしているんです・・・・」と言いながらも、日々の仕事からたくさんの事を学び、少しずつ自信がついてきた様子。
今後の夢をハッキリと教えてくれました。これからも目標に向かって頑張ってください!


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