地物食材にこだわった石川ならではの新ご当地グルメとして誕生した「能登丼」と「白山百膳」。いずれも、県内はもとより、遠来の観光客からも好評を博している。「能登丼」のアドバイザーを務めているのは“料理の鉄人”こと道場六三郎さんだが、片や「白山百膳」はしもおきさんがプロデュースした「白山麓の豊かな産物を最大限に生かすとともに、伝統的な報恩講料理の御膳スタイルを取り入れました。山里の素朴な食文化を洗練とおもてなしの心で味付けしたことが受け入れられたのでしょうか」


料理教室の講師をしていたころ、大病を患った父の看病を通して食養生や健康食の大切さに気づかされた。それを契機に食に関するさまざまな資格を取得し、「ヘルシーで、おいしくて、楽しい」をキーワードに“食の伝道師”として独り立ちした。 金沢を拠点に料理教室を主宰する一方、食育に関する指導・講演や飲食店のメニュー立案、カルチャー教室の講師などに携わり、近年は飲食店のトータルプロデュースも手掛けている。活躍の場が広がるほどに実感するのは「石川の食材の素晴らしさ」だという。「石川はまさに食材の宝庫です。『加賀野菜』や『加能ガニ』といったブランド食材のほかにも、近江町市場やスーパーには新鮮でおいしい地物食材がたくさん並んでいます。地元の人々にその価値を知っていただき地産地消を促すことも使命の一つだと思っています」

北陸新幹線の金沢開業(2014年度末予定)は、石川の食文化のクオリティーの高さを全国に知らしめ、石川ファンを増やす大きなチャンスだと見ている。「和洋中を問わずレベルが高く、“はずれ”がないのが石川の底力。器の美しさも含め多彩で奥深い石川の食文化の魅力を、自信を持ってアピールしていきたいですね」 オフのひととき以外は大好きな和服姿で通している。ふるさとのよき発信者たらんとする気概を胸に東奔西走の日々が続く。