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石川県は、日本列島のほぼ真ん中に位置し、南北に細長いことから、地理的変化に富み「加賀」と「能登」に分けられる。加えて北陸の典型的な気候、夏は蒸し暑いが冬は雪が多く、真宗王国でもある。 このような石川の風土と、加賀百万石の歴史の中で、各地の産物を用い、しかも長い年月をかけて、豊かな石川の食文化を創造し、受け継いできた。加賀は肥沃な平野と潤沢な水を利用し「米どころ」として、また四季折々に採れる食材に恵まれる。一方、長い海岸線を持ち、三方を日本海に囲まれる能登には、漁港が集中することから、海の幸とそれらを使った珍味が多い。その上、能登、加賀ともに年中行事や祝いなどの「ハレの日」の食事には、思いっきり贅をこらして日常生活の節目としてきた。また、城下町金沢には、百万石の伝統が色濃く受け継がれ、周囲の自然にも恵まれることから、新鮮な素材を巧みに使った金沢の味が今に伝わる。「鴨のじぶ煮」をはじめ「鯛の唐むし」、「かぶらずし」などは、まさに石川の食文化を代表し、味に華やかさがある。しかし、これら料理をはじめ各地に伝わる郷土料理や、ハレの日の食事、行事食にはそれぞれ家庭の味として母から娘へと伝えられてきたが、今日では料亭の味となったものもあって、各家庭で作られることは少なくなった。 このことは、日本人の食生活の近代化にみられる風土離れに通ずるものであり、このままでは石川の食文化が忘れ去られてしまう。今、私たちは石川の風土に根ざした地域産物の活用と、郷土の味の普及をはかり、次世代に伝承する責任があるのではないだろうか。すでに各地で展開されている「一村(町)一品運動」をはじめ、地場産品を使った郷土料理の工夫などは、健康上からも、また食料の自給率向上からも、石川の食文化を見直す絶好の時ではないだろうか。
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