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消化器内科

○専門分野・特徴・他


1.咽頭・食道がんの診断・治療

 咽頭(のど)は嚥下や呼吸、発声という重要な機能を有しており、腫瘍(がん)やその治療によって機能が障害されることによる患者さんの損失は大きく、病気の早期発見,早期治療が大切です。ひと昔前までは内視鏡検査による咽頭がんの発見率は極めて低いものでしたが、近年画像強調内視鏡及び拡大内視鏡が普及し、これまで早期発見が困難であった初期の咽頭がんが診断可能となりました。当院では2006年よりNBI(narrow band imaging:狭帯域光観察)を導入し、現在ではすべての検査においてNBI併用拡大内視鏡検査が可能な検査体制を整えています。NBI併用拡大内視鏡導入以降は、それまで1例のみであった早期咽頭がんの発見が62症例78病変と飛躍的に向上しました。また早期の咽頭がんに対し、耳鼻咽喉科、麻酔科と協力しながらの内視鏡治療を導入し、臓器温存・機能温存に努めています(図1)。

 図1:耳鼻咽喉科・麻酔科と協力し行っている咽頭がんに対する内視鏡治療
   

 NBI併用拡大内視鏡検査は食道がんの早期発見に対しても極めて有用です。食道がんの頻度は胃がんの約1/5程度とされていますが、進行した段階で発見された場合の予後は胃がん・大腸がんよりも悪く、早期発見が何より大切です。咽頭がんと同様に食道がんも早期発見、早期治療を行うことで、治療後の患者さんの生活の質(QOL)は外科手術と比較し大きく保たれます。当科では早期食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:図2)をいち早く導入し、これまでに390例を超える症例に対し行ってきました。
 食道がんのリスク因子としては一般的にアルコール、喫煙が知られていますが、リスク因子のない方でも定期的な内視鏡検査を行うことが病気の早期発見につながります。

 図2:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
   
   


2.胃・十二指腸・小腸疾患の診断・治療

 主な対象疾患としては胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃腫瘍、十二指腸腫瘍などがあり、当科では特に胃腫瘍と十二指腸腫瘍に対する診断と治療に力を入れています。
 胃腫瘍の代表としては胃がんがあります。胃がんは日本における癌による死因の上位3位に常に入っている疾患です。胃がんによる死亡を防ぐためには胃がんの早期発見が重要です。前述のNBI併用拡大内視鏡は胃がんの診断にも有用であり、さらに当科では胃がん診断の新しい内視鏡マーカーとして白色球状外観(white globe appearance; WGA, 図3)を世界で初めて報告し、実際の胃がん診断に役立てています。また、早期で発見された胃がんに対しては、確実に治すことはもちろんのこと、治療後の患者さんのQOLに配慮した低侵襲な治療を目指しています。胃がんに対するESDにおいて年間250-300例の実績があり、さらに当科では、安全かつ効率的なESDを目指してクリップ・スネア法(CSM-PLT,図4)を開発・導入しており、実際に良好な治療成績を得られたことを報告しています。すべての早期胃がんに対してESDが行えるわけではありませんが、他院で診断された方でも早期胃がんの治療方法についての疑問点があれば当科スタッフにぜひ一度ご相談ください。

 図3:白色球状外観
  

 図4:クリップ・スネア法
  

 胃腫瘍の中には粘膜下腫瘍といって胃の壁の中で発育する腫瘍もあります。従来は診断が困難でしたが、超音波内視鏡を用いることでより正確な診断が可能となりました。治療が必要と判断された胃粘膜下腫瘍に対しては、当院外科と連携し腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)などの適切な治療方針を提案させていただきます。
 十二指腸の腫瘍については、世界的にみても胃の腫瘍ほどの十分な解明が行われていないのが現状です。当科では正確な診断と根治性を保った安全な治療を目指し積極的に十二指腸腫瘍の診断と治療を行っています。
 小腸は十二指腸と大腸の間に存在する臓器で空腸、回腸の総称です。長さは6から7メートルで、位置的に口からも肛門からも離れており長く曲がりくねっていることから通常の内視鏡での検査は非常に困難な臓器です。
 当科では、低侵襲で小腸観察が可能な小腸カプセル内視鏡や、病変の詳細な評価と治療が可能な小腸バルーン内視鏡を用いる事で小腸疾患の診断と治療を行っています。


3.大腸疾患の診断・治療

 近年、食生活の欧米化や高齢化社会の進行によって大腸がんの罹患率は増加していますが、早期に発見して治療することによって治癒が期待できます。大腸内視鏡は、肛門から内視鏡を挿入して大腸の内腔を直接観察する検査であり、早期がん発見に最も診断精度が高く、診断から治療までを行うことが可能です。当院で行っている大腸内視鏡検査の件数は年々増加傾向であり、年間の大腸内視鏡件数は3000件を超えております(図5)。

 図5:
  

 大腸内視鏡検査は従来、「室内空気」で大腸を拡げて観察していたため、検査後、しばらく消化管内に空気が残り、お腹が張ることがありました。当院では、検査中は「炭酸ガス」を使用しており、炭酸ガスは空気よりもかなり吸収が早いため、検査後数分でおなかの張りがなくなり、検査中も検査後も楽な検査を提供いたします。ただし、高度の呼吸器疾患や心疾患のお持ちの人は炭酸ガスの使用にて持病の悪化の恐れがあるため、使用は相談の上で対応させていただきます。
 また、2014年1月より大腸カプセル内視鏡(幅11mm、長さ26mm)も導入しました。どうしても大腸カメラが苦手という方はご相談ください。ただし,保険適用は「通常の大腸内視鏡検査で内視鏡の挿入が困難な患者さん」に限られています。
 大腸においてもNBI併用拡大内視鏡をすることで、良性のポリープである腺腫や早期大腸がんの診断を即座に行なうことが可能であり、精度の高い診断を行っています(図6)。

 図6:大腸におけるNBI併用拡大内視鏡の実際
  

 粘膜内にとどまっておりリンパ節や他の臓器への転移がないと考えられる早○期大腸がんに対して、内視鏡切除が根治治療として広く普及してきています。内視鏡治療は体への負担が少ない治療法ですが、早期がんの中でも大きいものに対しては従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)では、技術的な理由によってがん細胞を取り残してしまうことがありました。ESDはそれらの問題を克服すべく、がんと周囲の粘膜を一括して切除することを可能とし、早期大腸がんに対しても2012年4月から保険適応となりました(図7)。当科では早期大腸がんに対し積極的にESD行なっており、手術件数は年々増加傾向であります(図8)。

 図7:大腸早期がんに対するESD
 
直腸の側方発育型腫瘍

切除後の潰瘍

2か月後には瘢痕

 図8:
  

・炎症性腸疾患
 大腸に炎症を起こす疾患には、感染性腸炎や薬剤性腸炎のように原因のはっきりしているものと、潰瘍性大腸炎やクローン病のようにまだ原因の明らかになっていないものがあります。炎症性腸疾患は、消化管(腸)に原因不明の慢性的な炎症を起こす疾患の総称で、主に潰瘍性大腸炎やクローン病に代表され、最近、日本でも生活の欧米化とともに増加しております。それぞれの病気に応じた治療を行っており、潰瘍性大腸炎やクローン病には内服療法のみならず血球除去療法、生物学的製剤を積極的に導入しています。クローン病の狭窄においては従来では開腹外科手術が行われていましたが、小腸内視鏡による拡張術が有効なこともあります。


4.肝臓・胆嚢・胆管・膵臓(すいぞう))疾患の診断・治療

・肝炎・肝硬変
 ウイルス性の慢性肝炎・代償性肝硬変に対する抗ウイルス療法を積極的に行っています。現在は副作用の強いインターフェロンを使用する事は少なく、内服薬による治療を主に行います。副作用も少なく高い効果があります。高額な薬ですが公費助成により少ない負担での治療が可能です。
 非代償性肝硬変に合併する肝性脳症や腹水に対する治療や、食道静脈瘤に対する内視鏡治療も行っています。
 また急性肝炎・重症肝炎に対する血漿交換や持続血液濾過透析などの集学的治療も行っています。

・肝がん
 慢性肝炎・肝硬変に合併する肝がんに対して、超音波検査・CT・MRIなどによる早期発見に努めています。発症した肝がんに対しては、全身状態に合わせて、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術、化学療法などを積極的に行っています。

・胆管結石・胆管炎
 胆管結石による胆管炎は生命にかかわることが多く、迅速かつ適切な処置を行っています。内視鏡的胆道ドレナージ術や内視鏡的乳頭切開術・拡張術および採石術を年間200-300例行っています。

・膵がん、胆嚢・胆管がんによる黄疸(おうだん)
 膵がんや胆嚢・胆管がんによって引き起こされる黄疸により患者さんのQOLは大きく低下し、手術や化学療法(抗がん剤)による治療が制限されることがあります。黄疸に対して速やかに内視鏡的胆道ドレナージ術もしくは経皮的胆道ドレナージ術を行うこと、黄疸を改善してから病気の進行状況に合わせて手術もしくは化学療法を行っていきます。
 また超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)による病理診断も積極的に行っており、迅速かつ正確な診断が可能です。


5.進行した食道・胃・大腸・胆嚢・胆管・膵がんに対する化学療法

 がん治療において、抗がん剤による化学療法の役割は、年々大きくなっています。仕事や自宅での生活を維持しながら、がん治療を行うために、化学療法を外来で行う場合が多くなってきています。
 当科では外来で安全に治療をうけていただくための専用スペースとして、外来治療室を設けており、がん専門薬剤師、がん化学療法認定看護師のサポートの下で、現在、年間800件以上の消化器疾患に対する抗がん剤を通院治療で行っています(図9)。

 図9:消化器内科 外来・入院化学療法件数の推移
  

・外来治療室
   

 当科では進行したあらゆる消化器がん(食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、胆道癌、膵癌など)に対して、科学的な根拠に基づき、安全性に十分配慮しながら、抗がん剤治療を行うとともに、患者さんが安心して治療を継続できるように治療開始時より緩和ケアのサポートも積極的に活用しています。
 治療においては標準治療だけではなく、新しい治療開発をおこなうため、多施設共同研究グループ(日本臨床腫瘍グループ:JCOGなど)に積極的に参加し、臨床試験に協力しています。また将来有望な新薬治験(本邦未承認薬剤を使用する治療)にも参加することで、よりよい治療の確立に貢献すると同時に、患者さんに新たな治療の選択肢も提供しています。


6.緊急内視鏡

 食道・胃静脈瘤破裂、出血性胃・十二指腸潰瘍、小腸・大腸出血に対して、365日24時間体制の緊急内視鏡を行っています。もちろん消化管出血のみならず、成人・子供における食道・胃の異物誤飲など、あらゆる消化器救急疾患においても、同様に365日24時間体制の緊急内視鏡で対応しています。


7.臨床研究

 当科では、患者さんに新たな治療法を提供するために全国の他の医療機関と共同で臨床試験を中心とした研究を積極的に行っています。
現在主なものとしては
・大腸腫瘍患者へのアスピリン(100mg/day)による発がん予防大規模臨床試験 J-CAPP Study II
・家族性大腸腺腫症に対する大腸癌予防のための内視鏡介入試験の追加研究(J-FAPP StudyIII-2)
・ワルファリン内服継続下での大腸ポリペクトミー/EMRの安全性に関する探索的前向き試験
・抗ウイルス剤ハーボニーによりC型肝炎ウイルスを排除後に発症する肝癌を予測する因子の探索
・食道がん内視鏡治療後のヨード不染帯程度別の異時性他臓器がんの発生状況を調査する多施設共同前向きコホート研究
・Barrett食道に関する全国疫学調査・研究
・生体試料からの遺伝子発現プロファイルを用いた食道がんサブタイプ分類と治療効果との関連に関する臨床評価試験
・早期胃癌の存在診断における第二世代狭帯域光観察と白色光観察のランダム比較試験
・急性下部消化管出血患者に対する緊急下部内視鏡検査の出血源同定率の有効性を検討する多施設無作為化割付比較試験
・ヘリコバクター・ピロリ陽性かつ早期胃がんESD治癒切除後患者における、ピロリ菌除菌による異時性胃癌抑制効果を証明するランダム化比較試験
・実地診療における膵癌患者の臨床的特徴と治療の検討
などを行っています。また上記の他にも化学療法を含めたて多くの臨床研究を行っています。
詳細については担当医にご質問ください。


   
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